保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則違反
先日、「東海北陸厚生局は18日付で「共創未来うおづすみれ薬局」に対し、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則違反などで保険薬局の指定取消の行政処分を下した。」との報道がありました。
処分理由については「同一開設者の他の保険薬局で行った調剤を、当該保険薬局で調剤を行ったものとして調剤報酬を不正に請求していた。また、本来は「調剤基本料3」の施設基準で届出しなければならないところ、「調剤基本料1」の施設基準に適合していると虚偽の届出を行い、調剤報酬を不正に請求していた。」と報道されています。
個別指導において、上記不正が発覚し、監査が行われたようです。
上記ケースは薬局に対するもので、保険医療機関の指定取り消しがされるケースは多くありません。
しかし、虚偽の届け出といった「故意」による不正請求の場合、保険医療機関に対しても指定取り消しが下されることがあります。
令和元年度の保険医療機関(医科)の指定取り消しは7件ですが、いずれも付増請求や振替請求といった「故意」の不正請求が理由となっています。
故意の不正請求はもってのほかですが、故意の不正請求と疑われるような請求をしないように気をつけるという点も、クリニック経営のリスクマネジメントとしては極めて重要です。
「元保険医療機関の指定の取消相当」及び「保険医の登録の取消」
令和3年9月22日付で、新潟県の歯科に対して、「元保険医療機関の指定の取消相当」及び「保険医の登録の取消」をおこなったと関東信越厚生局から発表がありました。
個別指導の端緒となったのは、訪問診療を受けている患者の家族からの通報だったようです(医療費通知の自己負担額と実際の支払いが相違していた。)。
厚生局側が個別指導を行ったところ、訪問していない日の診療報酬を請求していることが判明し、個別指導を中断、患者に対する反面調査を含めた監査となりました。
しかし、歯科側は監査に出頭せず、監査を拒否。上記のような処分に至ったようです。
【個別指導→指定取消】という厳しい処分に至ったのは
- 実際には訪問していない日に訪問診療の診療報酬を請求していた可能性が極めて高いこと(いわゆる「架空請求」)。
- 監査に応じなかったこと
の2点が極めて大きな要因であったと考えられます。
「診療報酬を計上すべき日を間違えていた」という場合であれば、故意の架空請求とまではいえず、このような処分には至らなかったのではないかと思います。
架空請求は論外ですが、故意の「架空請求」「付増請求」「振替請求」と疑われるようなことが無いよう、日ごろからカルテの記載及びレセプト請求には細心の注意を払うことが重要です。
用語の解説
※付増請求:診療行為の回数(日数)、数量、内容等を実際に行ったものより多く請求すること。
※振替請求:実際に行った診療内容を保険点数の高い他の診療内容に振り替えて請求すること。
以上