顧問先で「クレーム対応研修」を行いました

先日、顧問先クリニックからのご要望をいただいて、クリニックのスタッフ向けに「クレーム対応に関する研修」をさせていただきました(約40分程度)。

事前にマニュアルを作成し、対応マニュアルの説明を行いつつ、現状生じている個々の事例について、質疑応答を行いました。皆さん、非常に意識が高く、たくさんのご質問をいただきました(クリニックのお昼休みにお伺いしたのですが、午後の開始ギリギリになってしまいました汗)。

医療機関特有の問題としては、

  1. 応招義務との関係で、具体的にどのような場合に診療を断っていいのかがわからない。
  2. 無診察での処方は違法であることは承知しているが、具体的にどのような場合に断ればいいのかがわからない(高齢や障害によって通院できないケース、症状に変更がないケース、新型コロナウイルス感染症を気にして来院したくないというケースなど)。

という点が特徴的です。

私自身、理事をしている皮膚科クリニックで約1年ほど、実際に受付業務、レセプト請求業務をしていたので、現場でどのような対応が必要になるのかについて、かなり勉強をさせてもらいました。

そして、なによりも重要なのは、クレームの対応を行っているスタッフを「顧問弁護士を含めたクリニック全体で守る」ということです。

安心してスタッフの皆様に、業務にあたってもらえるよう、今後も迅速かつ適切なリーガルサービスを提供していきたいと思います。

クレーム対応研修についても、随時受け付けております。

クリニックの実情に応じた対応策をお伝えしたいと思います。お気軽にお問合せ下さい。

本ブログについての質問と回答・解説

Q. 応召義務違反の場合、どうなりますか。

A. 医師の資格に関する行政処分の可能性は理屈上はあります。また、患者に対する金銭的な損害賠償責任の可能性もあります。刑事上の罰則(懲役刑など)はありません。
損害賠償を患者が求める裁判の場合、救急事案では医療機関の責任が重く判断される傾向があります。他方、クレーマーなどの患者とのトラブル事案の場合には医療機関の主張が通った事案が多いです。

Q. 警察に相談するとどうなりますか。

A. 残念ながら、警察はあまり動いてくれないことが多いです。ただし、相談は受付してくれますし、相談をしておけば、万が一の時の警察の対応も早くなります。
また、事案によっては警察からクレーマーに対して警告の電話をしてくれた事案も過去にはあります。

本ブログについての用語解説

応召義務

「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」という医師法第19条第1項の規定です。診察を原則拒んではならないという一般的な規定です。

本ブログに関連する質問と回答・解説

Q. 患者さんがクレーマー化しています。どうすればよいですか。

A. クレームには、患者が一方的に悪い、医療機関・クリニック側が一方的に悪い、どちらが悪いか微妙という3パターンがあります。まずはどのパターンなのかをしっかり把握しましょう。
患者が一方的に悪いのであれば毅然とした態度をとるべきです。他方、医療機関・クリニック側が悪いのであれば誠実に謝罪しましょう。微妙な事案の場合には事案に応じた対応が必要となります。

以上

文責:弁護士 川﨑翔