賃貸借契約にご注意!

10月9日付で「医療・福祉」の倒産最多 経営難、暴力団つけ込む 年間見込み」(産経新聞)という記事が出ていました。

医療機関が経営難に陥った場合、「診療報酬債権の譲渡」(ファクタリング)により再建を目指すこともあります。
その際、悪質な業者や暴力団が介入してくるというケースも少なからず存在するので、注意が必要です。悪質な業者が不当な利益を得ていて、結局再建できなかったというのでは意味がありません。

また、新規に開業したクリニックに悪質な業者が介入しているというケースもよく見られます。契約書を確認したら、医療機関側に極めて不利な条件で契約を締結させられていたという経験は結構多いです。
特に、クリニックの入居物件の契約、リース契約等は注意が必要です。

弁護士というと「揉めてから依頼する」というイメージが強いかもしれません。
しかし、契約交渉前にちょっと相談できるアドバイザーとして顧問弁護士を利用していただけると、リスクを回避できると思います(不利な契約をする前であれば、契約相手を変えてしまえばいいのですから。)。

契約交渉や契約書のレビューについてもお気軽にご相談下さい。

賃貸借契約の危険性に注目して、医療機関として気をつけるべき点

【話をわかりやすくするために架空のケースを例にお話しします。】

とあるクリニックを経営するドクターからこんなご相談がありました。
「最初に開院した物件から移転しようと思ったら、家主から残りの賃貸期間の賃料も払えと言われて、困っている。そんな無茶な話はないですよね。」

ドクターから契約書を見せてもらうと、契約書にはこんなことが書いてありました。

  • 賃貸の期間は20年!
  • しかも、途中で解約した場合、貸主は残りの期間の賃料を請求できる。

どうやら契約書をきちんと読まずに契約してしまったようです。
クリニック側に極めて不利な契約になっていたのです。
これでは、中途解約して退去しても、残りの期間の家賃を支払わなくてはなりません。

一体どうしたら、よいのでしょうか。。。
そして、こうならないためには何が必要なのでしょうか。


これはあくまで架空のお話ですが、似たような話はよく耳にします。

今回のケースでは、賃貸借契約書に

  • 「賃貸期間20年」
  • 「中途解約の場合、残りの期間の賃料を請求できる」

という記載がありました。

まずは、家主に「中途解約でも発生してしまう賃料を安くできないか交渉する」ということが考えられますが、わざわざこのような条項をいれているくらいですから、交渉は難航することが予想されます。

クリニックが退去後に入居してくれるドクター又はその他のテナントを見つけてくれば、多少値引いてくれることがあるかもしれません。しかし、こんな物件を誰かに紹介するのはちょっと気が引けますね。

場合によっては、この物件でクリニックを続けつつ(他のドクターに運営を任せる)、他の物件で収益を上げるというのが現実的でしょうか。
いずれにしても、対処療法の域を出ません。

そこで、「契約締結前に弁護士に相談しておきましょう」ということになるわけです(手前味噌ですが)。

しかし、契約直前で条項の修正を求めても、うまくまとまるとは限りません。
一事が万事、このような契約を求めてくるということは、ほかにも不利な条項が入っている可能性があります。もっと言えば、物件を管理する姿勢に問題があったり、信頼関係が構築できない相手かもしれません。

やはり、物件の選定やその他の法的リスクのコンサルティングを含めてできるだけ早期に弁護士にご相談いただきたいと思います。弁護士はもめている時だけに役立つというわけではありません。場合によっては、契約締結の交渉も代理することができます。

「これって大丈夫かな?」と気軽に聞いてほしいと思っています。

【医療機関・クリニックの顧問弁護士|弁護士 川﨑翔】

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個別指導当日の帯同はもちろん、事前の準備・コンサルティングも行います。

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以上

文責:弁護士 川﨑翔