講演のご依頼をいただきました

先日、他県の医師会から講演のご依頼をいただきました。

今回は交通事故診療に関する講演を行います。
講演もさることながら、講演後の意見交換はいつも勉強になります。

交通事故診療以外にも、

  • 「厚生局による個別指導」「診療上の法的リスクマネジメント」
  • 「クリニックの労務問題」

など、医療機関やクリニックに関する講演を承っております。

お気軽にお問い合わせください。

本ブログについての用語解説

個別指導

保険医療機関や保険医に対して、保険診療の取扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させることを目的とした指導のことです。厚生労働省又は地方厚生(支)局及び都道府県が主体となって、対象者を一定の場所に集める方法又は個別に面談する方法によって行います。

被保険者などから診療報酬に関する情報提供があり、厚生局が指導の必要ありと判断した医療機関や、監査の結果、戒告・注意を受けた医療機関等が対象になりますが、具体的にどのような理由で選定されたのかはクリニック側には開示されません。

個別指導の結果、診療内容や診療報酬請求に適正を欠く部分があると認められると、再指導や監査の対象になる可能性があります。このようなリスクを避けるために、個別指導の対象となった場合は、事前によく対策を練って臨む必要があります。

本ブログに関連する質問と回答・解説

Q. 診療上の法的リスクマネジメントについて、気を付けておくべきことを簡単に教えてください。

A. 患者に対する関係で重要になるのは説明義務を果たすことです。患者が治療について自己決定権を行使できるように、診断の内容や患者の現在の状態、予定している治療法の概要と目的・方法、治療の危険・副作用の可能性、他の治療法の有無、治療せず放置したらどうなるか、治療期間の見込みなどを説明しなければなりません。

また、カルテの記載をきちんと行うことも大事なリスクマネジメントになります。カルテに上記の内容を説明したことを記載したり、交付した説明書を添付したりすることで説明義務を果たしたことの証拠が残ります。

また、個別指導等との関係でも、保険請求を裏付ける内容がカルテに記載されていることが適切な診療報酬請求をしたことの重要な証拠になります。忙しい中でカルテを丁寧に書くのは大変ですが、できるだけ詳細に書くように努めましょう。

Q. 現在は特に労務問題は無いのですが、将来のリスクに備えておきたいと思います。まずは何をすればよいでしょうか。

A. よくある労務問題が、(元)スタッフからの未払残業代請求です。これを避けるためには、給与・残業代が適法に支払われているか、クリニック側が正確な労働時間を把握できているかを日頃から確認することが重要になってきます。

また、顧問弁護士をつけるのも一つの手です。顧問弁護士であれば、平常時からクリニックの状況を把握できているため、問題が起こった際にもすぐに対処できます。

クリニック側としても、相手が普段からコミュニケーションをとっている弁護士なので、有事の際も緊張せず安心して相談できます。こうした相談のしやすさも、問題の早期発見・解決に繋がっています。

顧問弁護士をつける場合は、医療法務に精通した弁護士を選ぶことをお勧めします。

以上

文責:弁護士 川﨑翔