川村一彦著「65歳、医師はじめて挑む病院経営」(幻冬舎)を読みました。
経営難に陥っている病院の理事長になってしまった著者の奮闘が描かれています。
著者は、長期療養が必要な患者のための療養型病院であった「相和病院」を、「積極的に患者を治療する療養型病院に変える」という方針を打ち出します。「療養型病院は看取りの病院」という概念を打ち破ろうと努力します。
そして、入院透析や人工呼吸器の導入という独自性をもたせ、さらに著者自ら他の病院に「営業する」という方法をとります。
その結果、見事再建を果たすというストーリーです(実話ですが)。
中規模病院の置かれた状況等、とても参考になる内容でした。
一点、「ほとんど仕事を依頼していなかった税理士や弁護士にも辞めてもらった」というくだりは、何とも複雑な気分になりました。
顧問先医療機関からの「依頼」をこなすだけの顧問弁護士があまり意味がないと言われても仕方がない気がします。
顧問先医療機関からの「相談」に迅速に対応し、医療機関としてどう動くべきかということを積極的に「提案」できることこそが重要なのだと感じています。
本ブログについての質問と回答・解説
Q. 顧問弁護士がいますが、どのようなことを、どのようなときに相談したらよいのでしょうか?顧問弁護士からは、何か相談事がありましたら相談してくださいと言われています。しかし、実際、どのようなときに相談すればよいのか、また、どのようなことであれば弁護士に相談してよいのかよくわかりませんので、あまり相談していないのが実情です。
A.
- よく受ける質問として、どのようなことであれば弁護士に相談してよいのか?また、どのようなときに顧問弁護士に相談すればよいのか?という御質問を頂くことがあります。
- どのようなことを顧問弁護士に相談してよいのか?という御質問につきましては、回答は、どのようなことでもご相談して頂いて構いませんという回答になります。
もちろん、法律顧問契約の体系によっては、相談可能な時間帯や上限時間を設けている場合もありますが、ご相談の内容については、基本的に無制限です。
例えば、ある質問を頂いたときに、これは弁護士の守備範囲ではないという質問もあります。その場合でも、弁護士としてはご相談頂いた方のお困りごとを可能な限り解決することが顧問弁護士の役割であると思っています。
そのため、仮に弁護士の対象分野外のことであっても、この場合はこちらの専門家に相談される方がよいですよとか、こちらに問い合わせ頂いた方がよいですよとか、可能な限りそのご不安な点やお困りごとが解決することできるように回答させて頂きます。
そのため、このことは弁護士に相談してよいのか?ということはあまり考えて頂かずに、誰に相談してよいか不明であれば、ぜひ弁護士を頭に思い浮かべて頂きご相談頂ければと思います。 - では、どのようなときに顧問弁護士に相談した方がよいのでしょうか?例えば、相手の方がいるケースで相手の方が弁護士をたててきた場合は、弁護士に相談することがぱっと頭に思い浮かぶかと思います。しかし、実際、何か業務等で頭にひっかかったことがあっても、弁護士に相談しようということが頭に浮かばないことも多いかと思います。
回答としては、直観的に何か引っかかることがありましたら、ぜひお気軽に顧問弁護士までご相談してみてくださいということになります。
日々の医療機関の業務では、専門家として医学的なことについては日々判断をされていると思います。しかし、それ以外の専門分野外のことについては、これは行ってもよいのであろうか?と、何かふっと直観的にひっかかることがあってもそのままにしておくこともあるかとは思います。しかし、実はそこに大きな問題が潜んでいる可能性があります。例えば、そのひっかかったこと原因で、後に実際にトラブルが生じた際に大問題になるような場合もあります。
専門家の方が日々のその業務等を行っている際に、直観的にひっかかる点が生じた場合は、実はとても重要なことがその後ろに隠れていることも多々あると感じています。
顧問弁護士が既にいらっしゃる場合は、ご自身の直観でひっかかることがある場合には、ぜひお気軽に顧問弁護士に相談されることをお勧めします。 - 余談
余談ですが、弁護士はすべての法律が頭に入っているのか?と聞かれることもあります。当然ですが、すべての法律を頭に入れることは不可能です。そのため、具体的案件について、弁護士は文献や法律の条文、判例等を調べながら業務を行っています。ご相談・ご質問して頂いた際の回答についても、調べて回答することも多いため、多くの弁護士の意見は基本的な部分はかわらないと思います。
ただ、弁護士によって、その業界の知識や経験、能力等の差異によって、気が付く視点やアドバイスの内容はかわってくることがあります。そのため、可能な限り、その業界に精通している弁護士にご相談されることをお勧めします。
以上