社会福祉法人のガバナンス(理事会・評議員会)

先日、顧問先の社会福祉法人の理事会、評議員会に出席してきました。
新規事業に関連する事項が議題となっていることもあり、理事会、評議員会ともに活発な意見交換がされているのが印象的でした。


社会福祉法が平成28年に改正され、

  • 理事の責任が明確化
  • 評議員会の設置義務

が規定されるなど、社会福祉法人のガバナンス強化が図られています。

特に気をつけなければいけないのは、平成32年度から多くの社会福祉法人で評議員を7名選任しなければいけないという点です。
選任の手続を考えると平成31年度中に対応する必要があるでしょう。
法人の状況によっても違いがありますので、専門家に相談されることをお勧めします。


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本ブログについての用語解説

社会福祉法人の理事

理事会の構成員として理事会に出席し、理事会に関与します。理事会における議事に参加して意見を述べたり、決議の際に議決権を行使したりします。

社会福祉法人の理事会

社会福祉法人の業務執行の決定、理事の職務の執行の監督、理事長の選定及び解職を行います。
決議の際は、原則として過半数の理事の出席があるときに、その出席している理事の過半数により行います。

理事会を開いたときは、議事録を作成しなければならないことになっています。
理事会で決定された業務執行は、対外的には、理事長が行います。理事長でない理事にとっては、理事会における議事を中心として、理事長の職務の執行の監督を行うことが、とても大きな役割になってきます。

社会福祉法人の理事は、6名以上でなければならないことになっています。

社会福祉法人の評議員

評議員会の構成員として評議員会に出席します。議題を提案したり審議に参加したり、決議の際に議決権を行使したりします。理事、職員等と兼職することはできないことになっています。

社会福祉法人の理事の人数を超える人数の評議員を選任しなければなりません。6名の理事がいる社会福祉法人においては、最低7名の評議員が必要です。

社会福祉法は評議員の選任方法を規定していませんが(単に「定款で定める方法」とあるだけです。)、一方で、理事や理事会が評議員を選任解任することを許していません。

社会福祉法人の評議員会

平成29年施行の改正社会福祉法により、全ての社会福祉法人に設置しなければならない機関となりました。
法令及び定款に定める場合に決議を行うことができますが、理事等の選任、解任や定款の変更、計算書類の承認等、重要な事項に関する決定します。

ガバナンス

「統治」「支配」「管理」などという意味の英単語です。ここでは、健全な社会福祉法人の運営をするに際しての管理体制の構築や内部体制の仕組みと言い換えることができます。

平成29年施行の改正社会福祉法により、

  • 評議員会を必置の機関とし、法人運営の基本ルールや体制の決定及び事後的な監督を行う期間として位置付けた。
  • 理事、理事長の役割、権限の範囲が法律に規定されていなかったのを法律で規定することとし明確化するとともに、全ての業務執行の決定や理事の職務執行の監督を行う旨規定することにより、理事、理事長に対する牽制機能を働かせることをねらった。
  • 評議員と理事を兼務することができないこととした。

などの改正がなされましたが、これは、社会福祉法人のガバナンスの強化を目的としたものといえます。

顧問弁護士

経営するに当たり生じる法律問題について、気軽にすぐ相談でき、紛争防止の仕組みづくりや生じた紛争の対応等を継続的に行う弁護士です。

本ブログに関連する質問と回答・解説

Q. 顧問弁護士の費用はいくらですか。

A. 弁護士費用のページでご案内しています。

以上

文責:弁護士 川﨑翔