厚生労働省から令和2年4月10日付で「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」という事務連絡が出されました。
これまで【原則として初診は対面診療】とされていたオンライン診療について、初診からオンライン診療を行うことができるとした点が大きなトピックです。また、電話による診療についても、初診から認めるという内容になっています。
もちろん、対面診療と全く同じことができるというわけではありませんので、クリニック側も「オンライン診療の適切な実施に関する指針」と併せて、要件を理解しておく必要があるでしょう。クリニック側として留意すべき主なポイントをあげておきます。
【ポイント】
- 初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方をする場合、214点を算定可能。
- 麻薬及び向精神薬の処方はできない。
- 診療録等により基礎疾患の情報が把握できない場合、処方日数は7日間が上限。
- 電話による診療の場合、保険証をファクスしてもらう、メール送信してもらう及び電話で保険証記載の事項を確認するという方法で、診察を行ってもよい。
- 患者は自己負担額の支払について、銀行振込、クレジットカード決済、その他電子決済等の支払方法を利用できる。
- 新型コロナウイルスの感染が収束して、今回の事務連絡が廃止された後に診療を継続する場合には、直接の対面診療が必要。
また、上記の診察を行った医療機関が薬局に処方箋をファクス等で送付し、薬局が患者に薬剤を配送するということも可能になります(一部例外あり)。
あくまで新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための時限的な措置という位置づけですがが、通院による感染リスクを減らして診察・処方が受けられるというのは画期的だと思います。
本ブログについての質問と回答・解説
Q,オンライン診療全般について現在の状況を教えて下さい。
A,厚生労働省のWEBサイトに詳細な情報が掲載されています。また、日本医師会のWEBサイトにも詳細な情報が掲載されています。ルールが変更となることが多い分野ですので、最新の情報を元にした運用が大切です。
Q,オンライン診療の今後の方向性を教えて下さい。
A.厚生労働省ではオンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会を開催しています。また、厚生労働省のWEBサイトには随時最新の情報が更新されています。ルールが変更となることが多い分野ですので、最新の情報を元にした運用が大切です。
参考:厚生労働省 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会
Q.オンライン診療の目的は何ですか。
A.厚生労働省の指針では、以下の3つを上げています。
- 患者の日常生活の情報も得ることにより、医療の質のさらなる向上に結び付けていくこと
- 医療を必要とする患者に対して、医療に対するアクセシビリティ(アクセスの容易性)を確保し、よりよい医療を得られる機会を増やすこと
- 患者が治療に能動的に参画することにより治療の効果を最大化すること
Q.オンライン診療の研修プログラムについて教えて下さい。
A.厚生労働省にオンライン診療研修実施概要のページがあります。医師向けの研修プログラムがあります。
本ブログについての用語解説
オンライン診療
遠隔医療のなかでも、医師と患者の間にて、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い、診断結果の伝達や処方等の診療行為をリアルタイムで行う行為をいいます。
以上