最近、医療機関の個別指導への対応について、医療機関の顧問弁護士をされている先生からお問い合わせをいただくことが増えてきました。
個別指導は、
- 個別指導の呼び出しから期日まであまり時間が無い。
- 個別指導への対応に時間がとられてしまう(当日は休診にせざるを得ないでしょう。)。
- 手続の内容が明らかになっていない一方、多額の返還金が生じることがある。
という点に特徴があります。
そのため、個別指導の手続をよく知る弁護士が帯同することが重要です。
もちろん、帯同するだけでは意味がありません。
厚生局からの指摘に対してどのように反応するのかを事前に検討しておくことが必要です。
そのためには、対象となっている医療機関の特性や日々の業務フローを理解しておかなければなりません。
個別指導の通知が届いたら、早めにご相談されることをお勧めします。
個別指導のその後
保険医療機関に対する厚生局の個別指導が終了すると、後日、書面で指導結果の通知がされます。
「指導事項なし」であれば、特に対応する必要はありませんが、「指導事項なし」とされることは極めてまれなケースです。指導事項があれば、「改善報告書」の提出を求められます(場合によっては返還金の支払いを求められることもあります。)。
当事務所では、個別指導の通知が届いてから改善報告書の提出等まで「個別指導帯同プラン」として対応しています。個別指導実施通知が届いたら、まずはご相談ください。
と、ここまでが個別指導の流れですが、重要なのは「個別指導のその後」です。
高点数を理由として個別指導の対象に選定されたのであれば、高点数の状況を改善する必要があります(ほとんどの事案が高点数を理由として個別指導が実施されていると思います。)。
厚生局側は個別指導後も当然こちらのレセプト請求をトレースしているでしょう。
再び高点数を理由に個別指導ということになれば、厳しい状況になりかねません。
レセプト1枚あたりの点数を減らしつつ、いかにクリニック経営を成り立たせるかという問題に直面することになります。
クリニック運営に対するアドバイスも顧問契約で承っております。
お気軽にご相談ください。
個別指導後の改善
最近のお問い合わせで、顕著に増えているのが「個別指導(新規指導)で指摘を受け、自主返還をしたが、今後このようなことがないように対処していきたい」というご相談です。
クリニック運営の忙しさから、どうしても「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という状況になりがちです。
しかし、再び個別指導を受けるということになれば、時間的・金銭的な負担は計り知れません。一度指摘された事項を見直し、どのように改善していくのかという点は極めて重要です。
特に、一度個別指導を受け、自主返還を行なっているということであれば、厚生局側もレセプト請求の動向を注視しているはずです。
今後の対応策(業務フローやマニュアルの整備等)を含めてアドバイスを行いますので、【個別指導後の改善】という点でも、ぜひお気軽にご相談いただければと思います(出張相談も承っております。)。
個別指導の現状
個別指導や新規指導の状況、特に返還金の状況については、保険医療機関としては興味があるところです。
厚生労働省のウェブサイトでは、かなりタイムラグが大きいものの、返還金額を含めて公表されています(令和元年11月19日時点では、平成29年度の状況が公表されています。)。
令和2年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について
上記公表によれば、平成29年度の状況は
個別指導【年間4,617件】
指導による返還金額【約31億3千万円】
です。
保険医療機関を経営する上では、決して無視できないリスクです。
適切な診療報酬の請求はもちろんのこと、厚生局がどのような解釈をとっているのかを理解して対応することが極めて重要です。
以上