良き相談者として

最近、当ウェブサイトをご覧になったという問い合わせをいただくことが増えてきました。

医療機関だけではなく、介護関連会社の方や医療機器関連会社の方からもお問い合わせをいただいており、ありがたい限りです。

お問い合わせの中で最近増えているのが、

「現時点で何か問題が生じている訳ではないが、規模も大きくしたいし、法律的にも適切な制度設計をしていきたいので、顧問弁護士をお願いしたい」

というご依頼です。

もちろん、現時点で、「個別指導の通知が来ている!」ですとか「元従業員から残業代の請求がされている!」という事案では顧問弁護士の必要性は明らかです。

一方で、組織の規模を大きくする際、法的に正しい制度設計をしておかないと後々リスクになります(例えば、給与や賞与といった制度については、後で「残業代請求された!」などというリスクにもなります。)。

このようなご依頼の場合、経営者の方と一緒に、法的に適切かつ、その組織にフィットした制度や書類を作成していくことになるわけですが、弁護士としても、とても興味深く、やりがいを感じます。

顧問弁護士としてのリスク対策に加え、経営者の方の「良き相談者」でありたいと思います。

本ブログについての用語解説

個別指導の通知

個別指導とは、医療機関の診療内容や診療報酬請求などについて指導が必要であると判断された場合に、地方厚生局などによって個別になされる指導のことです。

指導対象になると地方厚生局から文書で「指導実施通知」が送られてきます。個別指導を理由なく拒否してしまうと監査の対象になるため、「指導実施通知」に記載してある指導の日時・場所を確認して必ず出席するようにしましょう。

本ブログについての質問と回答・解説

Q. 辞めた元従業員から「未払い残業代がある」と言われ、その分の支払いを請求されています。どのように対応すればよいのでしょうか。

A. まずは、本当に未払い残業代があるかどうかを確認する必要があります。
合意した金額を支払っていたとしてもその金額が法律の定める基準より低ければ、不足分は未払い残業代となり、支払わなければなりません。(時効が完成している場合など例外はあります。)

未払い残業代があるかどうかの事実について元従業員との間で話がつかない場合は、元従業員側からあっせんや労働審判といった法的手続きを申し立ててくる可能性が高いため、これに対応する必要が出てきます。

未払い残業代はよく問題になります。また、問題になっていることが在職中の従業員に伝わると「もしかしたら自分もちゃんと払ってもらっていないかもしれない」と疑念を抱かせることになり、やる気の低下に繋がります。
このようなリスクを避けるためには日頃から給与・賞与の支払いが適切になされていることが重要です。

Q. 顧問弁護士をつけず、問題が発生してから弁護士に依頼して対応してもらうのでは遅いのでしょうか。

A. もちろん、問題が発生してからでも、弁護士をつければその時点から適切に対応することは可能です。
しかし、依頼者様が「問題が発生した」と認識した頃にはすでに問題が大きくなってしまっていることがあります。

顧問弁護士がついていれば問題発生を防ぐだけでなく、仮に問題が発生してしまったとしてもすぐにこれを認識し、より大変なことになる前に対処することができるため、結果として小さいダメージで済む可能性が高いです。

また、日頃からかかわる顧問弁護士であれば医療機関のことをよく知っているため、急いで対処しなければならないときに医療機関のことを一から説明するといった手間も省けてスムーズに対処することが可能となります。

以上

文責:弁護士 川﨑翔